やぶはな

Everybody Needs Somebody to Love.

帰れない太陽の牙ダグ○ム


当てもなく電車に乗ってとある駅で降りる。
違うな、辺鄙な場所にあるオーディション会場のスタジオに向けて移動していたのだと思う。
駅からスタジオまで離れていてタクシーに乗るのだけれど、相乗りしようと彼女が僕に同意を求めてきたら、別の男も一緒に乗せてと言ってきて3人でタクシーに乗車。
助手席に男、後部座席右に僕、隣に彼女。
僕は男も彼女とも面識無いので主に彼女と彼女の同業者であるらしい男が会話する。男は彼女の先輩らしいがゲームの話題とか気安く会話している感じから結構親しい方なんだろう。
座席の位置取りからか前の席と会話をし易いように彼女は僕の方へ身体を寄せてくる。「乗る位置を交代すれば良かったな」と思っていたら、オーディション会場へ到着。
オーディション会場は周囲を田んぼに囲まれており、切り妻屋根の平屋の公民館みたいな建物で、室内からこぼれる灯りの中に大勢の人の気配を感じる。
目的地に着いたものの僕はオーディションを受けに来た訳ではないのでその場に立ち尽くしていると彼女が「一緒に帰ろう。終わるまで待っててね。」と明るく笑いかけてくる。僕はうなずき、彼女はタクシーに乗り合わせた男と建物に入っていく。
建物の裏には小さな駅舎があり2両編成のベージュで下の方に青い細いラインが2つ入った電車が見える。
帰りはそこからローカル線を乗り継いでいけば帰れるんじゃないかと漠然と思う。
ふらっと意識が途絶える。
気がつくとタクシーを降りたままの位置、公民館のような建物の前に立っていた。
其の建物から灯りがこぼれるが、人の気配は無い。
中に入ると誰もいない。
彼女は同業者達と帰ったのだろうと思い。
僕は小さな駅舎から電車で帰ることにした。
初めて聞く駅名や路線名が一体どこに繋がっているのか分からず、でも、田舎なのにたくさんの路線があちこちで繋がっているらしく、乗ればなんとかなるっぽい。
何度か電車を乗り継ぎ、家に近づいているのか遠ざかっているのかも分からず、ただただ電車に乗っている。
そんな帰れない夢。
きっと帰れなかったのは彼女を待たなかったからなんじゃないかな。
知り合いじゃない彼女の顔はよく覚えてる変な夢。

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