やぶはな

Everybody Needs Somebody to Love.

誤爆

街で偶然、かなり昔の彼女に出会った。
日傘を差しておおきくなったお腹に手をあてて目線を下げて微笑む。
長いまつげの下には、あの頃の時間に追われてギラついた眼差しも化粧で隠しきれないクマもなかった。
熱中症気味でボーとする頭が午後2時10分前の生ぬるい空気に睡眠と覚醒の境界をさらに曖昧にしている。
「何をいまさら」と声が出そうになるも、水の飲み過ぎで荒れた喉の奥から漏れる空気の音にかき消されて目覚める。

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テーマの著者 Anders Norén