やぶはな

Everybody Needs Somebody to Love.

障子に北斗七星を刻んだ過去の自分をぶん殴りたい。

衝動買いの止まらない物慾の秋いかがお過ごしでしょうか。
群集の密度について調べるといろいろなところで引用されてるジョン・J・フルーインの著書「歩行者の空間」が必要なのだけれど、40年以上前の本だし、有名な建築家の本って訳でもないニッチな本のためか、なかなか古書で見つからにゃい。
そんなときに限って関係の無い面白そうな本を見つけてしまうのよね。

一冊目は1975年の「SD」で、1971年に他界したアルネ・ヤコブセンの事務所の「その後」を特集だってさ。事務所はオットー・ヴァイトリングとハンス・ディッシングの二人が切り盛りしていたみたいで、公共建築をいくつか手がけていた。
気になったのは、この人達のプランに既視感があって、なんとなくだけど山本理顕の設計プロセスによく似た感じを受けたのよね。
世代的にはヤコブセン事務所の方が前なんだけど。
まぁ、気のせいだけれど。
二冊目、林雅子監修の「障子の本」

障子のある近代建築が沢山写真あって鼻血。
清家清さん、吉村順三さん、A・レーモンド、宮脇檀等々かっけぇデス。
後半に障子の「物性」なんてニッチなデータがあって微妙に貴重な資料かもしれにゃい。
障子の気密性ってwww
遮音する場合は厚手のカーテンを使えってwwwww
他にも、障子の形式や名称、実際の和紙サンプルなんぞ入ってて面白い。
真っ先に桂離宮の障子の写真が入っててこれも既視感がw
「菊竹さんのスカイハウスの写真?」と勘違いしました。
20世紀の中後期にかけて活躍された建築家の設計の中に日本建築が根を張っているのが垣間見えてくるのデス。21世紀に入って木造が見直されていますが、ヴァナキュラーな日本建築や近代日本建築に見られるディテールの妙のようなものは現代に見られなくなって久しいと感じております。
アタシの感覚は時代遅れなのかしら。
三冊目は、1963年の「建築」9月号。

京都の国立国際会館コンペ特集号だけど、表紙は菊竹さんの出雲大社庁舎w
最優秀賞の大谷幸夫さんの提案は勿論のこと、他の入賞者の提案内容にも頁を大きく使っていて読み応えありすぎて胃もたれするwww
今時の写真+よくわかんないけどカッコイイこと書いてあるペラペラな建築雑誌とは違い、生臭さ漂う図面と語りと客観的な設計競技背景説明。さらに、誌面後半の菊竹清訓の出雲大社特集が最後に国際会館の菊竹案のプレゼンの場になってしまうというカオスな編集は草しか生えないwwwww
出雲大社庁舎は昨年老朽化から取り壊しされたが、確かに約40mある大梁内部のフレシネケーブルによるポストテンション構造なんて外観変えずにどうやって補強したらいいのかわかんないよ。
建築業界の一部から保存の嘆願書なんかもあったっぽいけど、設計当初から「壊す方法」「直す方法」なんて思想あったか分からんし、21世紀になって様々な技術が進歩しているといっても、まだまだ追いつかないことばかりなのよね。
閑話休題。
国立国際会館の大谷案の「宝ヶ池の前にもう一つ池作ったれ!」という発想大好きw
他の入賞案では芦原義信さんチームの円弧状に長いホワイエを介して各会議場にアクセスするプランと、奇をてらうことのない堅実かつ明快で拡張性も分かり易い吉村順三さんの案は良いなぁ~
そして、北京五輪の会場となった建物がそっくりそのまま外観をインスパイアした素となった問題作である菊竹案。
最優秀賞として実施された大谷案の紹介は5ページ。出雲大社のおまけで掲載された選外?の菊竹案は11ページも誌面を費やしてやんのwwwwwwwwww
55年前の雑誌作りのフリーダムさは素敵デス。

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